定冠詞の用法

定冠詞とは、the のことですが、これも頻繁に出てくるので、ここでは特にその中心的役割を説明していきます。

定冠詞の基本の基本

◆定冠詞 the が最もよく使われる場合の一つは、前に出てきた名詞を限定的に表現するものです。

There was a small ditch near my house when we were kids.
「ぼくたちが子供の頃、家の近くに小さな水路がありました。」

We used to play in the ditch.
「ぼくたちはその水路の中でよく遊んだものでした。」


◆前に出ていなくても、状況によってわかるものにも the が付くことがあります。

Please close the door.
「ドアを閉めてください。」

※もちろん、閉めることを頼まれた人が、どのドアのことか分からなければ、改めて説明する必要もあるでしょう。

Please close a door. と言うことはあまりないでしょうが、例えばこれに quietly を付ければ、「ドアは静かに閉めて下さい。」と一般的な話にはなるでしょうね。

唯一のものを表す

宇宙全体でたった一つしかないと考えられている名詞に the を付けて表すことがあり、天体や気候、方角、季節などがあります。

the sun(太陽) the summer(夏)  the sky(空)  the left(左)  the sea(海)など・・・

The sun sets in the west.
「太陽は西に沈む。」

Be careful driving in the snow.
「雪の中を運転するときは気を付けなさい。」

Turn to the right at the third traffic light.
「3つ目の信号を右に曲がってください。」

総称を表す

普通名詞に the が付くことで、不定冠詞が付く時と同じように、その普通名詞の種類全体の特性、習性などを表すことがあります。

The giraffe sleeps only about an hour a day.
「キリンは1日に1時間くらいしか眠りません。」

All the functioning of the brain has not yet elucidated.
「脳の全ての働きはまだ解明されていない。」

elucidate 解明する

「~の人々」、「~のこと(もの)」という意味を表す

定冠詞が形容詞や分詞に付くと「~の人たち」や「~のこと(もの)」などの意味を表すことがあります。

You should give priority to the wounded.
負傷者を優先すべきです。」

the wounded は複数形で「負傷した人たち」という意味になります。

give priority to ~を優先する


He is constantly interested in the unknown.
「彼は常に未知のものに興味を抱いている。」

Don't ask for the impossible.
「無理は言わないでくださいね。」

the impossible は「不可能なこと」の意味です。

固有名詞に付く場合

◆固有名詞である人名(複数形)に定冠詞が付くと「~家の人々」というような意味になります。

The Whites are moving back to Los Angeles next week.
「ホワイトさん一家は来週ロサンゼルスに帰るのです。」


◆河川や山脈、大洋、新聞、雑誌名などに定冠詞が付くことがあります。

The Shinano is the longest river in Japan.
「信濃川は日本で一番長い川です。」

the Shinano River とすることもあります。


I've read the Yomiuri for more than 30 years.
「私は30年以上読売新聞を読んでいます。」

the Yomiuri = the Yomiuri Newspapers

楽器を弾くという場合

ギターやピアノなどの楽器を弾くというような場合、楽器名の前に the を付けるというのが中学英語での定説でしたが、the を付けない言い方も普通です。

My sister can play (the) piano better than I.


例えば、特に職業やバンドの楽器担当として演奏したり、特技として演奏することを述べる場合は冠詞は不要となりです。

Jenny used to play bass in our rock band.
ジェニーはかつて僕たちのロックバンドでベースを演奏していた。


次の例文では特定のギターを指しているので、必ず the が必要になります。

My uncle had a priceless vintage guitar and he let me play the guitar only once.
おじさんは値段の付けられないビンテージギターを持っていたが、僕は一度だけそのギターを弾かさせてもらった。