ここでは if を使わない仮定法など、慣用的な仮定法表現を取り上げます。
◆「もしも~がなければ」という意味で常に否定の仮定を表します。If it were not for などの表現に置き換えることもできます。
But for his cooperation, this concept would go down the drain.
「彼の協力がなければ、この構想は水泡に帰すことになるだろう。」
= If it were not for his cooperation, this concept would go down the drain.
go down the drain 水泡に帰す(お流れになる)
But for the villagers' fierce objections, the goverment would have constructed
an atomic power plant there.
「村民の激しい反対がなかったら、政府はそこに原発を建設していただろう。」
= If had not been for the villagers' fierce objections, the goverment would have constructed
an atomic power plant there.
※ If had not been for 「~がなかったら」という意味で、過去の事実の反対を述べます。
◆ with の後に名詞(句)を付けることによって、「~があれば」の意味で仮定の英文を作ることができます。全体の文脈から、仮定法になっているか、また、現在なのか過去の話なのかを考えます。
With much money, I would treat you.
「お金がたくさんあったら、おごってあげるんだけどなあ。」
= If I had much money, I would treat you.
With a little more practice, you could have hit his ball.
「もう少し練習していれば、彼のボールは打つことができただろう。」
If you had practiced a little more, you could have hit his ball.
◆ without では「~がなければ」の意味で but for と同じような表現ができます。
Without a long-term guarantee, I would never buy a personal computer.
「長期保証がなければ、パソコンは決して買わないだろう。」
= If it were not for a long-term guarantee, I would never buy a personal
computer.
long-term 長期の
◆ suppose は、動詞として、もともと「~だと思う」というような意味がありますが、これも主語を取った形で慣用的に仮定法の一つの表現として使われています。
Suppose he were a genius, you must have invented something useful by now.
「もし、彼が天才なら、今頃は何か役立つものを発明しているに違いないよ。」
◆ supposing としても使い方は同じです。
Supposing you meet a bear in the woods, what will you do?
「もし、森で熊にあったら、あなたはどうしますか。」
※ この類型には、他に provided, granted, given などもあります。
◆ to不定詞の句が条件を表す場合があります。
To talk with him, you will find him very coward.
「彼と話をしてみると、彼がとても臆病だということが分かでしょう。」
= If you talk with him, you will find him very coward.
◆分詞のつくる句が条件を表す場合もあります。分詞構文用法の一つでもあります。
Coming here yesterday, I might have been able to see the mysterious animal.
「昨日ここに来ていたら、その得たいの知れない生き物をみることができたかも知れない。」
= If I had come here yester, I might have been able to see the mysterious animal.
◆通常の主語の形でも条件を表す場合があります。
A true hero would never run away first.
「本当のヒーローなら決して一番に逃げたりしないだろう。」